執筆者:性同一性障害(GID)学会認定医 大谷伸久

プロラクチノーマの論文を読む前に、プロラクチン、プロラクチノーマの予備知識を得ておきましょう。

プロラクチノーマとは?

脳にある下垂体といわれる場所からプロラクチンというホルモン(乳汁分泌ホルモンの別名)が分泌されています。プロラクチンは、乳汁分泌を促進させる作用を持っています。性腺の機能を低下させる作用も持っています。女性が授乳期のときは、性欲があまりないのはこのためです。

プロラクチノーマは、下垂体が肥大して腫瘍化して、プロラクチンが過剰に分泌します。

一般人口のプロラクチノーマは、男性だと2800人に1人。女性は1050人に1人の頻度で生じると言われています。男性は、腫瘍が微細な場合、診断が遅くなり頻度が低いのか?男女で進行度が異なるのか?はよくわかっていません。

プロラクチノーマは、エストロゲンが原因?

身体でより多くエストロゲンを産生した結果か、外から投与したエストロゲンによって、この頻度の違いが生じるのかもしれませんが、エストロゲンがプロラクチノーマのリスク要因なのかはっきりわかっていません。

ラットの実験では、高濃度のエストロゲンを投与するとプロラクチンを多く産生する細胞が多くなるようです。そのため、女性ホルモン、とくにエストロゲンを高濃度に投与しているとプロラクチノーマになる可能性があると言われています。

ところが、プロラクチンの血中濃度が正常範囲内の場合でも、プロラクチノーマを生じることもあります。そして、女性ホルモンが必ずしも高い血中濃度でもないにもかかわらず、プロラクチノーマを生じることがあると報告されています。

エストロゲン治療を受けている、MTFトランスジェンダーにおけるプロラクチノーマの海外医学論文をいくつか紹介していきましょう。

Key word

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