男性ホルモン治療によるFTMの頭髪の薄毛(禿げ)の影響

性別適合手術(SRS)を終えたトランスジェンダーGID・FTM50人の禿げに関する研究報告。
SRS前に少なくとも2年間以上は男性ホルモン治療を平均8.7年行ったFTMを対象としている。
使用した男性ホルモン:対象者すべて、ネビドを使用。
脱毛(禿げ)の進展度は、以下のスコアを利用。
<脱毛症(禿げ)のタイプの見方>
脱毛症の分類には、1975年と古いがNorwood Hamiltonの分類が最も使われている。
FTM脱毛症
Type I:
生え際の若干もしくは、脱毛がない。
Type II:
前側面の生え際が、たいてい左右対称性に禿げ上がる。
Type III:
TypeⅡと同様左右対称に生え際は深くなる。一部登頂が薄い場合もある。
以後タイプⅤまで続く。
薄毛分類

36.7%のFTMが、上記タイプⅠで剥げていない。32.7%がタイプⅡで、マイルドに薄くなっている。タイプⅢ以上は31%だった。脱毛症と年齢は関係があり、男性ホルモン治療の期間とタイプには関連性がなかった。

男性ホルモン治療の最初の1年では、禿げの進展はほとんどない。ところが、予期できることだが、長く治療していると禿げは進展した。

25%のGID・FTMが10年のうちに中等度から重度までの禿げが進展した。ただ、この進展度は、通常の男性の頻度より低い。18~50歳男性の42%がこの程度の禿げ具合になる。

短い期間の治療だと禿げないが、男性ホルモン治療が長ければ長いほど禿げが進展する。加齢は、大きな影響がある。前額部の毛根部のアロマターゼの濃度は、女性は男性に比べ、6倍もある。

生まれつきの女性は、局所的なテストステロン、エストロゲンの割合が異なるために、禿げの進展を促進をさせない可能性がある。長期の男性ホルモン治療となるとまだ不明な点が多い。

※コメント
海外の注射用男性ホルモンは、日本より種類が多く、注射する間隔が短く、容量も多いです。日本国内では、テストステロンデポー製剤125㎎と250㎎があり、水溶性の男性ホルモンはほとんど使われていません。

使う男性ホルモンの違いがあるため、単純に比較できませんが、海外のトランスジェンダーは日本人より期間、容量が多い感じがします(海外論文より)。他の薬もなのですが、海外の薬はやはり欧米人の規格で使われているために、日本人の体格に同じように当てはまりません。

そのため、日本は日本人の体格になった容量、期間で治療していくのがよいのでしょう。短い期間で注射すると、男性の生理的な基準内でも比較的高く維持する場合もあるので、たまに適正な間隔か血液検査して確認するのがよいでしょう。

海外の研究データーは、研究期間が長く、中には20年という期間の報告もあります。日本の研究とは比べものにならないほど豊富です。現在日本でも若年者のGID・FTMは増加傾向にあり、かなり参考になるかと思います。トランスジェンダーの治療、その後の経過などは日本より20年以上は進んでいる感じがします。

当院でGID・FTMの最年長は、60歳弱で、しかも若いときから男性ホルモン治療はしていませんでした。若年者が多いので、今後はやはり海外の医学文献を参考にするしかないのが現状がかもしれません。

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☞参考海外医学文献
Short- and long-term clinical skin effects of testosterone treatment in trans men.
J SexMed.2014 Jan;11(1):222-9