執筆者:性同一性障害(GID)学会認定医 大谷伸久

近年、GIDの個人は急速に認識されるようになってきました。それにもかかわらず、彼らは、目に見えない、孤立を経験し、社会的暴力にさらされていることもあり、健康と幸福に悪影響を及ぼす負の人生のイベントのリスクにさらされ続けています。

性同一性障害の自殺傾向

おそらくこのような結果から、現在と過去の研究レポートから、この人口の自殺傾向 の高い率が報告されています。例えば、カナダ・オンタリオ州では、一般集団における自殺を試みた人が0.5%、自殺念慮3.7%で、GIDのでは、それぞれ44%、77% という率が報告されています。

研究によっては、自殺傾向率が異なります。例えば、ザビエルらは、25% の自殺試みと 65% の自殺念慮率を報告し、他ではそれぞれ 3% と 50% と報告されています。統計的手法によってこれらの不一致に対処するために、自殺傾向率全体の変動と平均を測定しなければいけません。

今まではGIDの経験的なサポートがないにもかかわらず、多くの医療従事者は、自殺願望者や精神病を扱うように、手術をしてもさらに精神の健康が悪化するであろうと考えている節があり、自殺率を見る傾向がありました。実際には全く反対で、手術後には抜本的に改善傾向を示しました。

従来の自殺傾向に関する報告は、1997~2016年までの今までに報告されてきたデータを使い、参加者の過半数は18歳以上という条件でした。また、参加者にクロスドレッサーの人たちを含みますが、これらの研究のために呼び出しています。ほとんどのケースでは、クロスドレッサーの性の自認もGIDの自認と同様にデータから外す必要がなかったとのことです。

今までの研究論文のデーターの収集から、生物学的男性15,074 vs. 生物学的女性8697人で、内訳はFTM4625人、 MTF9698人、一般人137人、クロスドレッサー939 人、13人のインターセックス。18歳未満は除外されています。

図1を見ると、MTFの自殺念慮はFTMより高いけれども(MTF51.7% vs. FTM45.4%)、自殺企図は頻度が変わらないが(31% vs. 32.3%)、性別不適合の自殺念慮(30%) 、自殺企図(25.6%) は、MTF 、FTM より低い。クロスドレッサーの自殺念慮は16.9%と最も低いです。

今までに報告された医学論文をまとめて統計的に見てみると、参加者の平均 56% が生涯自殺観念を経験し、29% が自殺を試みています。一般的な人口の自殺傾向の割合を考えると、それぞれ 0.5% 2 と 3.7%です。実際に参加者の比率は、自殺念慮が51% 、自殺企図が11% 認められました。

この1年間でさえ、それぞれ自殺傾向は一般大衆の念慮は14倍、企図が22倍高いです。MTFは、自殺念慮がFTMより高いですが、自殺企図はあまり変わりありません。

また、自殺傾向において、時間の移行の影響についても、納得のいく結果です。たとえば、予想通り、過去1年に比較すると、自殺念慮 (55% 対 51%)、特に自殺企図 (29% 対 11%) と減少しています。一方、自殺未遂は、他のほとんどの期間よりも、性別移行前よりも低くなります。 (自殺念慮36.1%、自殺企図13.1%)

ただし、これは、性別移行前の単一の期間とは対照的に、性別移行していないグループの累積的な自殺傾向があるので、平均すると生涯に渡って、自殺傾向が高いことには変わりません。

また、性別移行を望まないグループの自殺傾向が少ないことも考えられます。一方、性別移行を望むのにかかわらず、治療が経済的、社会的な壁になり性別移行できないためのグループに自殺傾向が高いからかもしれません。性別移行時に自殺傾向が高くなりますが、通常、性別移行するとその頻度は低くなります。

一般的に、自殺傾向は生涯でみると、一般大衆より高くなります。その原因は、性別移行に関すること、汚名、性差別からくることもあります。

この研究結果から、多くの潜在的なGIDに対する医療戦略を知らせることができます。例えば、差別と性別移行がうまくいかないことが原因になっている可能性が高く、性別移行後はその頻度が低くなっていることからもわかります。

したがって、医療機関は、性別移行の障壁を減らすことが重要です。また、当事者もこのような医療機関のサービスを探し、準備し、情報を入手する必要があります。

それにもかかわらず、このGIDの継続的な脆弱性を考えると、性別移行中のストレスの増加の可能性を避けるために、アンチGIDの汚名と差別に対して、医療従事者はこのGID集団を強化する必要があります。

GIDの医療と人権保護を主張する政策や立法措置への支援と参加すること、そしてGIDを差別しようとする非難の試みも含まれます。

※厳密には、若干ニュアンスが違いますが、原著はトランスジェンダーと表記されていましたが、意訳ではGIDとさせていただきました。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。

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出典☞今回の海外医学論文
Transgender Health
Vol. 2, No. 1 Review ArticleOpen AccessOpen Access license
Varied Reports of Adult Transgender Suicidality: Synthesizing and Describing the Peer-Reviewed and Gray Literature