FTMに使うネビドは、臨床的に安全か?

GID/FTMトランスジェンダーにとって、男性ホルモン(テストステロン)治療は男性化するために大切なことの1つです。

方法:
ネビドは、長時間作用する男性ホルモンで、36か月の経過観察をして17人のGID/FTMに投与しました。
経過観察した人たちは、何らかの理由により離脱した人は除き、その間治療を継続したひとを限定としています。

結果:
男性ホルモン血中濃度は、6か月で0.5±0.25から6.2±1.3上昇と安定していた。男性ホルモンの生理的変化は、男性ホルモン低値の人がこの男性ホルモンを注射したときとほぼ同じ濃度の幅であった。36か月経過観察したが、副作用はなかった。

コレステロールは、218±47から188±42まで下がった。HDLコレステロールに変化はなく、LDLコレステロール、トリグリセライドも重大な変化はなかった。肝機能も変化なし。ヘモグロビン、ヘマトクリットは、上昇したが、予想された範囲内であり、生理的変化の範囲内であった。特別に測定しなければいけない検査項目はなかった。乳房、外性器、内性器ともに臨床的な変化もなかった。

結論:
ネビドを使った結果、重大な副作用もなかった。

ネビドの説明

ネビドは、2004年ヨーロッパで販売され、ゴナドトロピン低下症(男性ホルモン低下症)の治療に使われるようになった。
GID/FTMにとって、男性化、男性化の維持にとって、性適合主手術前後の男性ホルモンの継続的な投与が必要になります。

男性ホルモンの重大な副作用として、「多血症」がありますが、ネビドではヘモグロビン、ヘマトクリットはあまり上昇しません。
これは、以前から行われている男性ホルモン・エステル型のものに比べ、血中濃度が生理的範囲内で長く保っているからと考えられます。

いくつかのネビド使用のレポート(英医学論文)がありますが、ほとんど安全に使用できるとされています。ただ、これらのレポートは、12か月以上経過観察されたものがありません。今レポートは、36か月と長い経過観察においての副作用などを見ることができます。

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今回の文献は、
Safety aspects of 36 months of administration of long-acting intramuscular testosterone undecanoate for treatment of female-to-male transgender individuals.
Euro J of End 161;795-8