執筆者:性同一性障害(GID)学会認定医 大谷伸久

GID/MTFにとって、乳房の膨らみは、女性化の関心事の1つです。海外はこのようなデータもでていますので、紹介していきましょう。

乳房は女性ホルモン治療を開始してからたいてい2~3か月で、乳房のサイズが大きくなる。
残念なことに、1/3しかBカップ以上にならず、45%がAカップを超えられない。希望する身体に近づけるために、少なくとも60%のGID/MTFが豊胸手術を受ける。

しばしば経験することだが、女性ホルモンによる体重増加をさけるために、熱心な努力をしないGID/MTFは、乳房の大きさは、より強調する部位であり、スレンダーであることに価値があると思っている場合がある。

自分の好ましい性に早くに変化させるためのさまざまな試みが報告されているが、その中でも最も多いのが、経口でなく、量を多くしての女性ホルモンの筋肉注射である。女性ホルモンを突然中止すると、乳汁漏出症になる可能性がある。

GID/MTFにおける乳がんもいくつか報告されている。一方、816例女性ホルモン治療しているが、乳がん発症したものはいなく、乳房に関する外科的手術を行った人もいないという報告もある。
※コメント
・女性ホルモン治療を開始して、大きくなるひとはなるし、ならない人は一向に大きくなりません。乳腺側に女性ホルモン感受性の高い受容体があれば、大きくなるのだろうか?と考えています。

これに関しては、通常の女性にも当てはまることで、なぜ大きくなるのか?一方、思春期には、女性ホルモンも活発に分泌されているはずなのですが、思春期から大人になっても小さいまま・・・確かに原因がわかれば女性のだれもが小さい胸に悩む必要はないわけで・・。これに言及している医学文献は見つかりません。

・豊胸するGID・MTFに関しては、日本国内では60%もいない感じがします。やりたいひとは多くいるかと思いますが・・・。
いつもありがとうございます。

海外参考医学文献
Endocrine intervention for transsexuals
Cli Endocrinology 2003 59,409-418
乳房breastの項目より