FTMの人にとって、男性化のために、なくてはならない治療の1つ、男性ホルモン治療であるが、この治療を長期に及ぶと、よからぬ症状も生じてしまう。それは、頭髪の薄毛。
さて、どうしたものか?今のところ治療に有効とされているのは、ミノキシジルの塗り薬のみと言われていた。一般男性も内服している「フィナステリド」の効果も今までわからなかったのですが、どうなのでしょう・・・?
前回は触りでした。
・家族に、禿げている、薄毛の人がいる場合、男性ホルモン治療しているその当人のFTMも禿げやすい傾向にある。
・ミノキシジルの塗り薬も効果がある。内服薬はお勧めできない。
・飲み薬、塗り薬ともに、男性と同じく、薬を中断すると元に戻る。永続的な効果はない。
FTMのフィナステリド内服の結果
対象は、10人すべてのFTM (平均年齢 35 歳; 範囲 28-41歳)としている。男性ホルモン治療開始後、男性型脱毛症(AGA:androgenetic alopecia) の平均発症年は 平均3.25年(2~5 年の範囲)。
AGA の家族歴を持つ患者の70%は、男性型脱毛症(AGA)発症は 平均2.85 年 (2~4 年の範囲)、残りの患者の男性型脱毛症(AGA)の発症は、平均4.1 年 (範囲 3.5~5 年) だった。
10人のFTMは男性パターン型脱毛症(AGA)の臨床診断を受けていた。うち90%は、NH スケールのステージ IV として階級で、残りのFTMはステージIII であった。 すべてのFTMは、フィナステリドの治療開始、平均 5.5 ヵ月 (範囲 4~6ヶ月) 後には、NH スケールの 1つグレードが改善した。
NHスケール
フィナステリド治療開始前の性的欲求度VASの平均は、7.5 (6~9の範囲) で、 フィナステリド治療開始後1年で、平均7.3 (範囲 6-9) になった。
治療開始前後の性的欲求度のスコアの差に変化はなかった。3人の患者は途中で中止した。2名が経済的な理由のため、1名が消化不良のために中止した。
他の副作用は認められなかった。これらの 3名のFTMは、フィナステリド中止後、平均 4.3 ヵ月 (範囲 3~6ヶ月) で,頭髪の薄毛がもとに戻ってしまった。
フィナステリド治療開始以降、男性ホルモン値、その他の血算、生化学検査は、いずれも基準値内で、患者の平均追跡年数は、16.2 ヵ月 (範囲 12~26ヶ月) であった。
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☞参考医学文献
Therapeutic experience with oral finasteride for androgenetic alopecia in female‐to‐male transgender patients
Clin Exp Dermatol. 2017 Oct;42(7):743-748