背景
禿げの毛髪パターンと冠動脈疾患とには、相関関係があると以前から報告されている。冠動脈疾患は、一般的にメタボリック症候群やPCOSのよう内分泌疾患にリスクが高いと言われる。アンドロゲンによる脱毛症は、いくつかの研究ではPCOSにも関係していると示唆されている。
※冠動脈疾患;心筋梗塞、狭心症など

いくつかの研究では有益な知見があるものの、禿げの具合と冠動脈疾患との関連性は説明することはできない。アンドロゲンの高値は、この関係性を説明できるかもしれない。

アンドロゲンに強い感受性がある男女には、脱毛を引き起こす可能性がある。禿げの具合と高コレステロール血症、高血圧、メタボリック症候群との3つの関連性を報告した研究がある。

いずれも、これらの研究報告からは、アンドロゲンが冠動脈疾患とに関連性があると明かすことはできていない。

1)生物学的な女性において、外因的なアンドロゲンが禿げの頭髪進行パターンにどのような作用があるのか?
2)禿げの頭髪進行パターンと冠動脈疾患との関連性は?

頭皮に対して、アンドロゲンに対する感受性の高さは、、男性の禿げの頭髪パターンと関係してくる。アンドロゲンは、冠動脈疾患のリスク要因だと言われ、禿げの毛髪パターンとこれらの冠動脈疾患との間に相関関係があるのではないかと推測されてきた。

レトロスペクティブな研究で、平均年齢36.7才(21~61才)、81人のGID/FTMを対象にして、禿げ頭と冠動脈疾患との関係を調べてみた。テストロンエナントエステル(日本のテストストロン・デポー)61人;250mg/2週間。

男性ホルモン治療開始時に、禿げの程度、BMI、血圧、脂質、インスリンを測定された。 81人中31人の禿げ頭の程度は、タイプⅡからⅤの間にあり、髪の毛の細さは、テストステロン治療している期間に相関関係があった。

FTM本人の年齢と男性ホルモン治療の期間が長いほど禿げの進行もしている。

男性ホルモン治療が期間が長いほど禿げの進行が進んでいる。13年後を境にFTMの50%が、禿げが始まっていき、24年後にはFTMの50%がTypeⅢ~Ⅴに進行している。

冠動脈疾患のリスク要因は、3~4か月での毛髪脱毛の程度には関連性なし。

HDL、LDL、コレステロールも関連性なし。

禿げの程度と、経過観察中の冠動脈疾患のリスク要因とに相関関係はなく、 今回の研究では、禿げの程度がひどいと冠動脈疾患のリスクが増えるということはなく、従来から言われているアンドロゲンが冠動脈疾患を発症させるという結論には至らなかった。
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今回の海外医学文献は…
Established risk factors for coronary heart disease are unrelated to androgen-induced baldness in female-to-male transsexuals.
Journal of Endocrinology 180,107-112