男性ホルモン治療を受けているFTMも男性と同様に、頭髪の薄毛を生じてしまいます。本来の自分への第一歩の治療である男性ホルモン治療のはずですが、男性ホルモン治療を始めて、数年、早い人だと1年くらいすると、頭髪の薄毛に悩まされることになるとは・・・。
FTMの薄毛とその原因
このように、FTMの男性ホルモン治療は、男性型脱毛症・薄毛を引き起こすのです。特に、長期に男性ホルモン治療をしているひと、内摘後も内摘前とおなじ容量、頻度で注射していると薄毛の症状が増悪することがあります。
男性の薄毛治療には、飲み薬タイプのフィナステリド（プロペシア）が効果的ですが、FTMに関しては、このフィナステリドがどの程度効くのかわかっていませんでした。海外の臨床研究の報告がなかったのです。
今回やっとはじめて、海外の医学論文でFTMの薄毛治療について具体化されたものが報告されました。自分にとっては、吉報！？と言っていいくらいの医学論文です。
今回は、要約ではなく、全文頑張って翻訳していきます。そんな読んでいる時間なんかないよ！と言う方は、このページの一番下に超訳したものを参考にしてください。
FTMの薄毛とは？
FTMは、男性ホルモンにより男性化を取得し、月経を停止させることができる。しかし、この男性ホルモン治療は、相反する効果、ニキビ、脱毛症（薄毛、禿げ）など望ましくない皮膚の副作用も生じてしまう。
テストステロンの補充は、FTMにとっては長年必要なことであり、長くに使用されることになる。肌や髪に対し、その短期および長期効果のさまざまな効果はまだわかっていないことも多い。
男性ホルモン型脱毛症 (AGA) は、遺伝的素因の個人の特性、生化学的あるいは男性ホルモンの環境下で、進行性の毛包の小型化によって引き起こされる。FTMにおいては、外因性の男子ホルモン投与は、男性型脱毛症の原因になる。
本研究の目的は、FTMの個人の特性がAGAにどのように影響するのか？そして、II 5 a 還元酵素阻害剤であるフィナステリドの安全性と有効性を評価することである。
超訳
・家族に、禿げている、薄毛の人がいる場合、男性ホルモン治療しているFTMも禿げやすい傾向にある。
・フィナステリド内服薬もFTMに一定の効果が認められる。
・ミノキシジルの塗り薬も効果がある。内服薬はお勧めできない。
・飲み薬、塗り薬ともに、男性と同じく、薬を中断すると元に戻る。永続的な効果はない。
最近、薄毛に悩んでいる方は、内服なら「フィナステリド」、塗り薬スプレーであれば「ミノキシジル」が効果的です。
・ザガーロについては、FTMの臨床試験のデータがまだありません。
・ミノキシジルの飲み薬は、長期に服用すると、副作用が出やすいためお勧めできません。
☞FTMの頭髪の薄毛について その２
☞FTMの頭髪の薄毛について その３
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☞参考医学文献
Therapeutic experience with oral finasteride for androgenetic alopecia in female‐to‐male transgender patients
Clin Exp Dermatol. 2017 Oct;42(7):743-748
