執筆者:性同一性障害(GID)学会認定医 大谷伸久

男性ホルモン治療によるFTMの声の変化の評価

性同一性障害gid・FTMの対象者の経過がほとんど短期間であるが、今回のケースは2年間声の変化を評価した研究報告である。

性同一性障害・FTMの男性ホルモン治療によるこの変化を経過観察したもっとも長いケースは2年で(Nygren,2016)で、55人のFTMを対象にし、治療1年目で36人、2年経過時には22人が有効がデータが取れた。

3,6,12,18,24か月目で声の評価をし、ほとんどの性同一性障害・FTMがネビドを使用し、男性ホルモンジェルを使っているものもいた。最初の1年目では、ほとんどのFTMが8半音下がり、男性ホルモン治療開始前が平均192Hzで、2~5か月で平均155Hz、5~10か月で134Hz、11~15か月で平均125Hzまで声が低くなった。

ほとんどの性同一性障害・FTMが、2~5か月で4半音下がり、その後の12~24か月時点では大きな変化がなかった。声の評価は、電話でのインタビューが行われたが、対象のFTMは男性と認識ができている。

12か月の時点では、ほとんどの性同一性障害・FTMが満足をしていたが、24%はボイスセラピーを受けた。理由は、声の疲労、声が不安定、声の質、ピッチが不十分、声が出しにくいなどで、年齢がいっている人より若い人にこの傾向が見られた。
【FTMの声の男性化に関する記事】
男性ホルモンによるFTMの声の男性化①
FTMの男性ホルモンによる声の変化②

Effect of testosterone on the transgender male voice
American Society of Andrology and European Academy of Andrology 2016,1-6

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